オープンサイエンス専門委員会
令和 8 年 10 月
1 目的
徳島大学研究データ管理ガイドライン(以下,「本ガイドライン」という)は,「徳島大学研究データポリシー」(令和6 年 3 月 7 日役員会決定)に基づき,本学における研究データの適切な管理,保存,共有,公開及び利活用に関する基本的な考え方を示すものである.
研究データは,研究活動によって生み出される重要な知的資産であり,研究の再現性,透明性及び信頼性の確保に加え,オープンサイエンスの推進において重要な役割を果たす.また,研究データの適切な管理は,研究公正,研究インテグリティ,個人情報保護,情報セキュリティ,知的財産管理及び産学連携の基盤となる.
本学の研究者は,本ガイドラインに基づき,それぞれの研究分野の特質を踏まえ,研究データを適切に管理し,規則等の範囲内において,公開,共有又は非共有・非公開の取扱いを適切に判断し,利活用するよう努めるものとする.
1.1 適用範囲
本ガイドラインは,本学に所属する教職員,学生,受入研究員,また,本学に所属しない者のうち,本学における研究又は教育に関する活動に携わる者に適用する.
共同研究,受託研究,国際共同研究,産学連携その他外部機関との研究活動においては,本ガイドラインに加え,法令,安全保障輸出管理,研究費制度,研究倫理審査,契約,利益相反管理及び関係する学内規程等を遵守するものとする.
1.2 本ガイドラインの位置付け
研究データの取扱いに関して本ガイドラインと個別の法令,契約,研究倫理審査の承認条件,研究費制度又は学内規程(「徳島大学における研究資料等の保存に関するガイドライン」(平成 27 年 11 月 17 日副学長(研究担当)制定)等)との間に相違がある場合にはより厳格な要件又は個別に定められた要件を優先する.
本ガイドラインは,社会や学術状況の変化,研究費制度,情報基盤, AI 利活用,情報セキュリティ及び関係法令の改正等に応じて,適宜見直しを行うものとする.
1.3 用語の定義
本ガイドラインにおける主な用語の定義は以下のとおりとする.
研究データ 本学における研究又は教育に関する活動を通じて収集(取得)又は生成されたデータの総称をいう.実験データ,観測データ,調査データ,シミュレーション結果,画像,動画,音声,ソースコード,解析プログラム,学習済み AI モデル,研究ノート等を含む.研究データには,以下に定義する一次データ,加工データ,原データ,及びメタデータ等が含まれる.
一次データ 実験,観測,調査,計測,数値シミュレーション等によって直接収集(取得)又は生成された研究データをいう.いわゆる生データに相当する.
加工データ 一次データ又は既存の加工データ等に対して,整理,変換,統合,解析,匿名化その他の処理を加えることによって作成された研究データをいう.処理の対象となるデータには,他者が収集又は生成した研究データも含まれる.
原データ 特定の加工又は解析において,その入力となる研究データをいう.一次データ及び加工データがデータの取得又は生成の過程に着目した区分であるのに対し,原データは加工又は解析との関係を表す相対的な呼称であり,一次データ又は加工データのいずれにも該当し得る.
メタデータ 研究データを発見,理解,管理及び再利用するための説明情報をいう.研究データの内容,作成者,作成日,形式,取得又は生成方法,所在,利用条件,ライセンス等を含む.一次データや加工データを説明するもののほか,研究課題,研究資金,研究代表者等のプロジェクト全体を説明するものも含まれる.
研究データ管理者 研究データの保存,アクセス権限,バックアップ,移管その他の管理実務を担う者をいう.研究データ管理者は,研究プロジェクトの実施体制等に応じて定めることができ,研究データに関する権利を有する者や,研究成果における著者と同一であるとは限らない.
DMP Data Management Plan の略であり,研究データの種類,保存場所,共有方法,公開方法,保存期間,管理者等を定める管理の計画をいう.一般に「研究データ管理計画」と呼ばれるが,本ガイドラインでは「徳島大学研究データポリシー解説」の用語に合わせて「データ管理計画」と表記する.
永続的識別子(PID) Persistent Identifier の略であり,研究者,研究成果,研究機関,研究課題等を継続的かつ一意に識別し,相互に関連づけるための識別子をいう.研究データや論文に対する DOI,研究者に対するORCID,研究機関に対する ROR,研究課題又は研究資金に対する Grant ID 等がある.
オープンサイエンス 研究成果,研究データ及び研究過程の可視性を高め,学術コミュニティ及び社会における知識の共有,再利用及び検証を促進する取組をいう.
公開 研究データを不特定多数の者が利用可能な状態に置くことをいう.
共有 アクセス権を付与された限定された者に研究データの利用を認めることをいう.申請,契約,審査,認証等の条件を付す場合を含む.
非共有・非公開 研究データを公開又は共有せず,管理上必要な範囲で保持することをいう.
これら用語の詳細な定義と,それらのオープンサイエンスとの関係等については,徳島大学オープンサイエンス推進専門委員会のウェブサイト「徳島大学のオープンサイエンス」を参照のこと.
2 基本方針
2.1 研究データ管理の意義
研究データ管理は,基本は研究活動の開始時点から研究終了後(研究データの保存期間終了)まで継続的に行われるべき活動である.研究データを適切に管理することにより,研究成果の再現性及び検証可能性が高まり,研究不正の防止,研究成果の可視性向上,共同研究の円滑化,競争的資金への対応及び社会への研究成果還元に資する.
また, AI for Science, 生成 AI,データ駆動型研究及び分野横断型研究の進展により,研究データの管理,公開及び利活用の重要性は一層高まっている.研究者は,研究データを単なる研究過程の副産物ではなく,研究成果を構成する重要な資産として取り扱うことが望ましい.
2.2 研究者の役割
研究データを収集又は生成した研究者は,法令及び本学の規則その他これに準ずるものの範囲内,並びに他の者の権利及び法的利益を害さない範囲内において,研究データの管理,公開及び利活用の方法を決定することができる.研究者は公開された研究データが,研究者のみならず不特定多数の者が利用することを認識しなければならない.
研究者は,オープン・アンド・クローズ戦略の下,それぞれの研究分野の特質及び研究データの性質を踏まえ,研究データを適切に管理し,「公開」,「共有」又は「非共有・非公開」のいずれとするかを適宜判断する.判断にあたっては,個人情報,機微情報,契約上の制約,知的財産権,特許出願予定,安全保障輸出管理,研究倫理上の制約に加え,産業競争力並びに科学技術・学術上の優位性の確保を考慮する.
2.3 研究データ管理者の配置とその役割
研究者のうち研究代表者は,研究開始時又は研究データの取得若しくは生成時に,研究データの管理実務を担う研究データ管理者を定めるとともに,「徳島大学情報セキュリティポリシー」(学内限定公開)に基づく当該研究データの情報管理責任者を確認し, DMP,研究データの目録その他適切な記録に記載するものとする.研究データ管理者と情報管理責任者は,同一の者とすることができるが,それぞれの役割及び権限を明確にするものとする.
また,研究データ管理者は,研究代表者,研究分担者,研究室責任者,研究プロジェクト担当者その他研究データの内容及び取扱条件を理解する者から定めることが望ましい.研究データ管理者を定めた場合には,保存場所,アクセス権,バックアップ,公開可否,保存期間,廃棄方法及び問い合わせ先を明確にする.
2.4 研究データの権利及び管理主体
研究データの権利帰属は,研究データを生成又は取得したという事実のみで一律に決まるものではなく,法令,本学の規則,雇用関係,共同研究契約,受託研究契約,研究費制度,研究倫理審査の承認条件,原データのライセンス,利用条件その他の合意に従って判断する.研究データに著作権その他の権利が成立しない場合もあるため,研究者は「所有者」という表現だけに依拠せず,管理,利用,共有及び公開を決定する権限を確認するものとする.
| 段階・種別 | 権利及び出所の確認 | 利用・ライセンスの原則 | 管理上の対応 |
|---|---|---|---|
| 自ら生成した一次データ | 研究者,本学,共同研究者等の関係及び契約を確認する. | 公開を決定できる権限を有する場合は,第三者の権利等を確認した上でライセンスを設定する. | 生成時から研究データ管理者,保存場所及びアクセス権を記録する. |
| 自ら取得した一次データ | 取得元,データ提供者,被験者等との合意,利用規約及び倫理上の条件を確認する. | 取得者であることのみを理由に自由な公開又は再許諾を行わない. | 同意・許可・契約と研究データを対応づけて管理する. |
| 自ら作成した加工データ | 加工前の研究データの権利及び利用条件並びに加工により新たに生じ得る権利を確認する. | 原データの条件と両立する範囲で利用又はライセンスを設定し,原データと加工内容を表示する. | 原データ,加工手順,作成者及び版を追跡可能にする. |
| 他者の研究データ | 提供者,出典,ライセンス,利用規約,契約及び目的制限を確認する. | 付された条件に従い,許諾を受けていない再配布又は再許諾を行わない. | 出典,取得日,取得元及び利用条件の写し又はリンクを保存する. |
| 公開・共有 | 公開又は共有を決定する権限及び共同権利者の同意を確認する. | 本学又は研究者が許諾できる権利の範囲に限って利用条件を付す. | 公開版,共有先,ライセンス, DOI 及び公開日を記録する. |
| 終了・異動 | 契約,学内規程,研究継続及び保存義務を確認する. | 従前の利用条件及び第三者の権利を承継する. | 管理主体,保存場所及びアクセス権を引継ぎ,変更履歴を記録する. |
2.5 所属及び研究プロジェクトの変更に伴う取扱い
本学の設備,研究費又は研究活動により管理されている研究データは,法令,契約,学内規程又は別段の合意がある場合を除き,本学が管理可能な環境に必要なデータを残し,その所在,管理主体及び管理責任を追跡可能な状態とするものとする.
研究者の卒業,修了,退職,異動等による所属の変更,又は研究プロジェクトへの参加,離脱,終了等により,研究データを取り扱う者又はその権限が変更される場合には,当該変更が生じる前に,研究データの適切な管理及び研究活動の継続性を確保するため,次の措置を講じるものとする.
- 現在の研究データ管理者,情報管理責任者,管理主体,保存場所,重要性分類,アクセス権及び利用条件を確認すること.
- 研究データ管理者又は情報管理責任者が離籍し,又はその職務を離れる場合には,研究代表者又は部局等が後任者を定め,現任者の離籍等の前に,研究データ,メタデータ,管理記録,アクセス権及び管理上必要な情報の引継ぎを完了すること.後任者が定まるまでの間は,研究代表者又は部局等が管理責任の所在を明確にすること.
- 研究プロジェクトへの参加又は離脱等に応じて,研究データへのアクセス権を適切に付与,変更又は終了すること.個人アカウントその他離籍後に利用できなくなる環境に研究データを残さないこと.
- 異動,退職等により業務を離れる者は情報セキュリティポリシーに従い,重要性分類 3 又は 2 に該当する研究データ及び設定情報を返却又は破棄すること.
- 研究データを学外へ持ち出し,複製し,又は移管する必要がある場合には,持出し等を行う前に,当該研究データの重要性分類及び取扱内容に応じ,情報セキュリティポリシーその他の関係規程が定める責任者の許可を得ること.重要性分類 3 の研究データに個人情報又は要配慮個人情報が含まれる場合には,情報管理責任者に加え,個人情報保護管理者の許可を得ること.重要性分類 2 の場合には,情報管理責任者の許可を得ること.
- 他機関への異動に伴う研究データの持出しが,学外提供又は学外管理にも該当する場合には,異動・退職等に伴う持出しの許可だけでなく,学外提供又は学外管理について必要となる許可も確認すること.
- 他機関から本学へ研究データを持ち込む場合には,前所属機関の規則,契約,研究倫理上の条件,第三者の権利及び重要性分類等を確認し,本学における利用及び管理が認められる範囲並びに本学における研究データ管理者及び情報管理責任者を明確にすること.
- 研究データの管理主体及び利用権限は,研究成果におけるオーサーシップとは区別して取り扱うこと.論文等の著者であることのみをもって,当該研究データの持出し,移管又は継続利用が当然に認められるものではない.
2.6 研究データの利用範囲
オープンデータとして公開された研究データに関しては,原則として利用目的を限定しない.ただし,法令,第三者の権利並びに当該研究データに付されたライセンス及び利用条件を遵守しなければならない.
公開前又は公開しないと判断した研究データについては,研究目的,教育目的,契約条件,研究倫理審査の承認範囲,法令及び学内規程の範囲内で利用するものとする.
研究者及び研究データ管理者は,研究データの目的外利用が行われないようライセンス契約等の方法により適切な管理に努める.既に取得されている情報を,当初の目的と異なる目的で研究データとして利用する場合には,当該情報の管理責任者の許可,個人情報保護に関する確認,研究倫理審査の要否確認等,必要な手続きを行うものとする.
2.7 保存場所及び処理環境の把握
研究者又は研究データ管理者は,研究データの保存場所及び処理環境を把握するものとする.特に,外部クラウドサービス,外部計算資源, AI サービス,外部委託先又は共同研究先の環境を用いて研究データを保存又は処理する場合には,法令,契約条件,情報セキュリティポリシー,個人情報保護,研究倫理及び研究インテグリティ上の要件を確認し,必要な対策を講じること.
国外のサーバ又は国外の事業者が提供するサービスに研究データが保存又は処理される場合には,データの所在,適用される法令,契約条件,利用規約,第三者提供の有無, AI 学習利用の有無等を確認すること.
2.8 情報セキュリティと取扱区分
研究データは,本学の情報資産の一部として,情報セキュリティポリシーその他の関係規程に従い,機密性,完全性及び可用性に留意して管理する.
研究者又は研究データ管理者は,研究データの内容及び制約を確認し,「公開」,「共有」又は「非共有・非公開」の取扱区分を定める.個人情報,患者情報,被験者情報,未公開研究成果,契約上秘密保持義務のある情報,知的財産に関わる情報及び安全保障上配慮を要する情報については,関係規程に基づく重要性分類及び取扱条件にも従う.研究データを複製,転送又は共有する場合にも,これらの条件を引き継ぐことに留意する.
2.9 FAIR 原則
研究データは,可能な限り FAIR 原則に従って管理することが望ましい.
Findable (発見可能) 研究データには,タイトル,作成者,所属,作成日,キーワード,研究課題名,研究費情報,関連論文, DOI 等のメタデータを付与することが望ましい.さらに,各種永続識別子(PID)が利用できる場合には,これらをメタデータに含め,研究者,研究成果,研究課題及び研究機関を相互に関連づけることが望ましい.
Accessible (アクセス可能) 研究データは,適切なリポジトリ,認証,アクセス権管理及び利用条件のもとで,必要な者がアクセス可能な状態とすることが望ましい.
Interoperable (相互運用可能) 研究データは,可能な限り標準的で機械可読な形式を用いることが望ましい.例として, CSV, TXT, JSON, XML, HDF5, NetCDF, TIFF, PNG, PDF/A 等が挙げられる.
Reusable (再利用可能) 研究データには,利用条件,ライセンス,引用方法,制約事項,データ作成方法,解析手順及び品質情報を明示することが望ましい.
3 データ管理計画(DMP)
3.1 DMP の作成
競争的研究費,受託研究,共同研究その他の研究制度において DMP の作成が求められる場合には,研究開始時点で DMP を作成する.また,制度上 DMP の作成が必須でない場合であっても,研究データの規模が大きい場合,個人情報又は機微情報を含む場合,複数機関で研究データを共有する場合, AI 利活用を行う場合又は研究データの公開を予定する場合には, DMP を作成することが望ましい.
3.2 DMP に記載すべき事項
研究費制度等により DMP の様式又は記載事項が定められている場合には,その定めに従う.様式等が定められていない場合には,研究の性質に応じて以下の事項を記載することが望ましい.記載方法は,付録 C 「DMP 記入例」も参照すること.
- DMP の作成年月日,更新履歴
- 研究期間(研究開始,研究終了時期)
- 研究課題名,研究代表者及び利用可能なORCID 等の研究者識別子
- 研究データの種類,形式及び概要
- 研究データの取得又は生成方法
- 研究データの出所,権利帰属及び利用条件
- データ量及び想定される増加量
- 保存場所及びバックアップ方法
- 処理環境及び利用するクラウドサービス等
- アクセス権及び共有範囲
- 個人情報,機微情報,秘密情報の有無
- 契約上又は知的財産上の制約
- AI サービス又は AI 学習への利用の有無
- 公開,共有又は非共有・非公開の取扱区分
- 公開先リポジトリ, DOI 取得の要否及び研究課題の Grant ID 等
- 公開時に付与するライセンス及びクレジット表示方法
- 保存期間及び廃棄方法
- 研究データ管理者,異動時の承継先及び問い合わせ先
3.3 研究期間中の見直し
DMP は,研究開始時に作成して終了するものではなく,研究の進展(メタデータの追加時)に応じて適宜見直すことが望ましい.特に,研究データの種類又は量が大きく変化した場合,共同研究者が追加された場合,研究データ管理者が交代した場合,外部サービスを新たに利用する場合,個人情報又は機微情報の取扱いが発生した場合,AI 利活用の方法が変更された場合,公開方針が変更された場合には, DMP を更新することが望ましい.
3.4 DMP と研究費制度への対応
研究費制度において DMP 又は研究データチェックリストの提出が求められる場合には,当該制度の様式及び記載要領を確認する.本ガイドラインに基づき,管理者,保存場所,アクセス権,公開可否, AI 利活用,保存期間等を整理しておくことにより,研究費制度ごとの DMP 及びチェックリストへの対応を円滑に行うことができる.
4 研究データの管理
4.1 研究データ管理のライフサイクル
研究データ管理は,研究開始時から研究終了(保存期間終了)後まで継続的に行う.本学では以下の研究ライフサイクルに沿って研究データを管理することを推奨する.
- 計画: DMP の作成,保存場所の決定,管理者の設定,公開方針の検討
- 取得・生成:実験,観測,調査,シミュレーション,解析, AI 学習等によるデータ作成
- 保存・共有:適切な保存場所,アクセス権,バックアップ及び共有方法の設定
- 解析・加工:解析スクリプト,処理条件,ソフトウェア環境及びバージョンの記録
- 公開・利活用:公開可否の判断,メタデータ作成,リポジトリ登録, DOI 取得
- 保存・廃棄:保存期間終了後の適切な保存継続,移管,匿名化,削除又は廃棄
- 移管・分譲:研究者の離籍等による研究データの移管,ライセンスによる研究データの分譲
4.2 保存
研究データは,消失,漏えい,改ざん,不正利用及び不適切な削除を防止するため,適切な環境に保存する.個人 PC のみ, USB メモリのみ又は管理されていない外部クラウドサービスのみで保存することは避けることが望ましい.
重要な研究データについては,バックアップを取得し,必要に応じて遠隔地又は別媒体に保管する.オリジナルの保存場所,バックアップの頻度,保管期間,復元方法及び担当者を明確にしておくことが望ましい.
4.3 共有
共同研究者,学生,外部機関,委託先等と研究データを共有する場合には,共有目的,共有範囲,アクセス権,利用条件,保存場所及び共有終了時の取扱いを明確にする.
共有に際しては,アクセス権管理,バージョン管理及び操作履歴管理が可能な環境を利用することが望ましい.共同研究契約,秘密保持契約又は研究倫理審査の承認条件がある場合には,それらの条件を遵守する.
4.4 バージョン管理
研究データ及び解析スクリプトは,変更履歴を確認できるよう管理することが望ましい.ファイル名,フォルダ構成, README,更新履歴, Git 等のバージョン管理システム又は GakuNinRDM 等の機能を活用し,どのデータを用いてどの研究成果が得られたかを追跡できるようにする.
4.5 メタデータ管理
研究データの再利用性及び発見可能性を高めるため,可能な限りメタデータを整備する.メタデータは研究データの一種として管理し,少なくとも次の二つの単位を区別して相互に関連づけることが望ましい.
研究データ単位のメタデータ 個々のファイル又はデータセットについて,名称,作成者,作成者の ORCID 等の研究者識別子,作成日,形式,収集(取得)又は生成方法,版,所在, DOI 等の研究成果の識別子,関連データ,公開条件,ライセンス等を記録する.
プロジェクト単位のメタデータ 研究課題,研究代表者及びその ORCID 等の研究者識別子,研究資金及び Grant ID 等の研究課題又は研究資金の識別子,研究機関及び ROR 等の機関識別子,研究期間,研究データ管理者,取扱区分,保存期間,関連する論文及びデータセット等を記録する.
メタデータ項目は,研究費制度,分野別リポジトリ又は公開先の指定に従う.共通的な参照先として,内閣府「公的資金による研究データの管理・利活用に関するメタデータ説明書第 1.0 版」,「DataCite Metadata Schema」及び「JPCOAR スキーマ」を参照できる.
4.6 保存期間
研究データは,関連法令,研究費制度,研究倫理審査,契約並びに本学の研究資料等の保存に関する定めその他の学内規程に従って保存する.論文等として公表された研究成果の根拠となる研究データは,当該研究成果の公表後 10 年間保存することを原則とする.ただし,法令等によりこれより長い保存期間が定められている場合にはその期間に従う.また,保存が不可能又は著しく困難な場合その他合理的な理由がある場合には,研究分野の特質及び関係規程を踏まえて別に取り扱うことができる.
4.7 廃棄
保存期間が満了した研究データについては,法令,契約,研究倫理審査,研究費制度及び学内規程を確認した上で,継続保存,移管,匿名化,削除又は廃棄を判断する.個人情報,機微情報,秘密情報又は重要性の高い研究データを廃棄する場合には,復元困難な方法により安全に処理する.
4.8 研究データ管理における推奨事項
研究データの再利用性及び検証可能性を高めるため,以下の事項を推奨する.
- ファイル名の命名規則を定める.
- フォルダ構造を整理する.
- README ファイルを作成する.
- 解析スクリプト及び実行環境を保存する.
- ソフトウェア及びライブラリのバージョンを記録する.
- データ取得条件及び解析条件を記録する.
- データの単位,欠損値,コード表等を説明する.
- 公開,共有又は非共有・非公開の取扱区分を記録する.
- 論文,報告書,図表等との対応関係を整理する.
- 参考文献及びその利用箇所を追跡可能にする.
- DOI 取得及び引用方法を検討する.
projectXXXX
├── README.md
└── data
├── raw
├── processed
├── scripts
├── figures
├── documents
├── metadata
└── references
フォルダ(ディレクトリ),ファイルの配置例
参考文献は, references フォルダに書誌情報,入手先, DOI 又は URL,参照日及び研究成果中の利用箇所を記録することが望ましい.文献管理ソフトウェアを用いてプロジェクト横断的に管理する場合には,ライブラリのエクスポートファイル,安定した共有リンク又は識別子等をプロジェクト内に保存し,使用した文献集合を再現できるようにする.著作権又は契約上保存できない文献本文については,本文を複製せず,正規の入手先及び書誌情報を記録する.
5 研究データの公開
5.1 公開等の判断原則
研究成果に直接関係する研究データについては,オープン・アンド・クローズ戦略の下,研究分野の慣行,法令,契約,研究倫理,個人情報保護,知的財産権,安全保障,産業競争力並びに科学技術・学術上の優位性の確保を踏まえ,「公開」,「共有」又は「非共有・非公開」のいずれとするかを適切に判断する.過度な制限によって研究の進展を不当に妨げない一方,公開又は共有に伴う情報漏えい,権利侵害,不適切な二次利用等のリスクを考慮し,リスクに応じた適切な公開範囲及び管理方法を選択する.
研究データを公開することにより,研究成果の透明性,検証可能性,引用可能性及び社会的価値を高めることができる.一方で,公開された研究データは第三者による検証,批判,再解析及び AI 等による利用の対象となり得るため,公開前に品質,権利関係,個人情報,利用条件及び説明文書を確認することが重要である.
5.2 取扱区分
研究データについては,研究内容及び各種の制約を考慮し,適切な取扱区分を選択する.
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 公開(Open) | 誰でも自由に利用可能な状態で公開する.利用条件,ライセンス及び引用方法を明示することが望ましい. |
| 共有(Shared) | 申請,審査,契約,認証又はアクセス権の付与等により,限定された者に利用を認める.学内限定又は研究プロジェクト内限定の利用も含む. |
| 非共有・非公開(Closed) | 公開又は共有を行わず,管理のみ行う.法令,契約,倫理,知的財産,安全保障,研究の新規性又は科学技術・学術上の優位性等の理由がある場合に選択する. |
以下の場合には,共有又は非共有・非公開とすることを検討する.
- 個人情報又は要配慮個人情報を含む場合
- 医療情報,患者情報,被験者情報又は遺伝情報を含む場合
- 共同研究契約,受託研究契約又は秘密保持契約による制限がある場合
- 特許出願前又は知的財産権保護上の理由がある場合
- 安全保障輸出管理又は研究インテグリティ上の配慮が必要な場合
- 研究倫理審査の承認条件により公開が制限される場合
- 学位取得,論文投稿,査読又は追加研究に影響する未確定データを含む場合
- 産業競争力又は科学技術・学術上の優位性の確保に影響する場合
- その他法令又は学内規程上の制約がある場合
5.3 公開先
研究データを公開する場合には,研究分野の慣行及び研究データの性質に応じて,以下のような公開先を検討する.
- 機関リポジトリ(JAIRO Cloud)
- 分野別リポジトリ
- 学術雑誌の付随データリポジトリ
- 公的機関又は研究コミュニティが運用するリポジトリ
公開先を選択する際には,永続的識別子の付与,メタデータの充実,長期保存性,利用条件の表示,アクセス統計,ライセンス表示,データ容量,公開費用等を確認することが望ましい.
5.4 永続的識別子(PID)
永続的識別子(PID)は,研究活動に関係する対象を継続的かつ一意に識別し,それらの相互関係を機械可読な形で示すために用いられる.
公開する研究データには,可能な限り DOI 等の PID を付与することが望ましい.また,メタデータには,作成者又は研究代表者の ORCID,所属機関の ROR,研究課題又は研究資金の Grant ID 及び関連する研究成果のDOI を,利用可能な範囲で含めることが望ましい.これらを適切に関連づけることで,研究データ,論文,研究者,研究機関及び研究課題の引用,発見,追跡及び評価が容易になり,さらには評価等にも連鎖的に結びつく可能性が高まる.
DOI を付与した研究データは,原則として削除又は大幅な差し替えが困難となる場合があるため,公開前に内容,権利関係,メタデータ及び公開条件を十分に確認する.修正版を公開する場合には,版管理及び旧版との関係を明示することが望ましい.
5.5 論文との相互参照
公開データと論文は,可能な限り相互に参照できるようにする.論文中には公開データの DOI 又は URL を記載し,公開データのメタデータには関連論文の DOI,書誌情報又は URL を記載することが望ましい.作成者又は研究代表者が ORCID を利用している場合には,公開データ及び論文のメタデータに ORCID を含め,研究成果と研究者情報との相互参照が可能となるよう努める.
研究成果の発見可能性,到達可能性及び引用可能性を高めるため, EDB 等の学内研究者情報データベースへの書誌情報登録時にも,関連する公開データの情報を併記することが望ましい.
5.6 ライセンス及び利用条件
研究データを公開する場合には,第三者へのライセンス(許可する利用形態),および利用条件を明示することが望ましい.利用条件には,引用方法,改変可否,商用利用可否,再配布可否,表示義務,免責事項等を含めることができ,これらを表示することをクレジットという(※免責事項には「研究データの信頼性を保証するものではないこと」が含まれる).
本学又は研究者が公開及び再利用を許諾する権限を有する研究データをオープンデータとして公開する場合には,原則として CreativeCommons Attribution4.0 International (CCBY4.0)を付与することを検討する.CCBY4.0 は,適切なクレジット,ライセンスへのリンク及び変更の表示を条件として,商用利用を含む共有及び改変を認める.
ただし, CCBY4.0 を付与できるのは,本学又は研究者が許諾できる権利の範囲に限られる.他者から取得した研究データ,第三者の著作物を含む研究データ,共同研究データ,個人情報,契約又は研究倫理上の制約がある研究データについては,原データのライセンス,契約及び必要な同意を確認し,必要に応じて対象外部分又は個別の利用条件を明示する. CCBY4.0 を付与しても,個人情報,肖像権,人格権その他の権利に関する許諾が当然に与えられるものではない.
6 本学における推奨環境
本学における情報基盤の整備・保守運用の現状および将来見通しを鑑み,研究データは,その性質及び研究段階に応じて, Microsoft365, GakuNinRDM, 機関リポジトリ等を適切に使い分けることを推奨する.ただし,個別の研究分野,研究費制度,契約又は研究倫理審査において別の環境が指定される場合には,その要件を優先する.
6.1 Microsoft 365
日常的な研究活動,研究室内共有,文書作成,共同編集,授業及び学生との情報共有には, Microsoft365 の利用を推奨する. OneDrive, Teams 及び SharePoint を利用する場合には,アクセス権限,外部共有設定,ファイル所有者,離籍(退職・卒業を含む)時のデータ移管等に留意する.
個人情報,機密情報又は契約上制限のある研究データを保存又は共有する場合には,利用可否及び設定を十分に確認し,必要に応じて部局又は関係窓口に相談する.
6.2 GakuNin RDM
研究プロジェクト単位での研究データ管理には, GakuNin RDM の利用を推奨する. GakuNin RDM を利用することで,研究データの集約管理,共同研究者との共有,操作履歴の記録,バージョン管理,メタデータ管理等を行うことができる.
特に,競争的研究費に基づく研究,複数機関による共同研究, AI 利活用を伴う研究,公開予定データを含む研究又は DMP 作成が求められる研究では, GakuNin RDM を研究データ管理の中心的環境として利用することが望ましい.
6.3 機関リポジトリ(JAIRO Cloud)
公開可能な研究成果及び研究データについては,機関リポジトリ(JAIROCloud)による公開を検討する.公開に際しては,附属図書館等の関係窓口と相談し,メタデータ, DOI,ライセンス,公開条件,論文との相互参照等を確認する.
6.4 外部サービスの利用
Dropbox, Box, Google Drive, GitHub,商用 AI サービス,外部計算資源,民間クラウドその他本学が全学契約又は全学運用していないサービスを研究データ管理に利用する場合には,利用規約,保存場所,第三者提供,AI 学習利用,アクセス制御,退職・卒業時のデータ移管,契約上の制約及び情報セキュリティ上の要件を確認すること.個人情報,機微情報,医療情報,秘密情報又は重要性の高い研究データについては,管理されていない外部サービスへの保存又は入力を避けることが望ましい.
6.5 推奨する研究データ管理環境
| 目的 | 推奨環境 |
|---|---|
| 個人作業・日常利用 | Microsoft OneDrive |
| 研究室内共有・共同編集 | Microsoft Teams, SharePoint |
| 研究プロジェクト管理 | GakuNin RDM |
| 共同研究における共有 | GakuNin RDM,必要に応じて契約で定めた環境 |
| 研究データ公開 | 機関リポジトリ(JAIROCloud),分野別リポジトリ,学術雑誌付随データリポジトリ等 |
7 分野別の留意事項
7.1 人文学・社会科学系
人文学・社会科学系においては,インタビュー記録,アンケート結果,フィールドノート,音声,動画,写真,歴史資料,文献データ,テキストコーパス等が研究データとなり得る.個人情報,著作権,肖像権,文化的配慮,地域社会との関係及び調査協力者との合意に留意し,公開範囲及び利用条件を慎重に判断する.
7.2 医歯薬学系及び生命科学系
医歯薬学系及び生命科学系においては,臨床データ,医療画像,患者情報,被験者情報,アンケート結果,遺伝情報,生体試料に関する情報,実験ノート等が研究データとなり得る.これらのデータについては,研究倫理審査,個人情報保護,インフォームド・コンセント,匿名化又は仮名化,二次利用条件,保存期間,提供先及び公開可否に十分留意する.
個人が識別される可能性のあるデータについては,原則として公開データに含めない.限定された者との共有又は共同研究先への提供を行う場合にも,必要な手続き及び契約を確認する.
7.3 理工学系
理工系においては,実験計測データ, CAD データ,シミュレーション結果,制御ログ,観測データ,装置設定,解析プログラム等が研究データとなり得る.再現性を確保するため,装置条件,測定条件,単位,校正情報,シミュレーションパラメータ,ソフトウェア環境及び乱数シード等を記録することが望ましい.
7.4 情報科学系
情報科学系においては,ソースコード,学習データ,評価データ,学習済みモデル,ネットワークトレース,ログ,ベンチマーク結果,設定ファイル,実行環境等が研究データとなり得る.再現性及び検証可能性を高めるため,コードのバージョン,依存ライブラリ,実行環境,データ前処理手順,評価指標及びライセンスを記録することが望ましい.
ネットワークトレース,ログ,アクセス記録等には,個人情報,通信の秘密,機密情報又はセキュリティ上の情報が含まれる場合があるため,公開又は外部共有に際しては匿名化,集計化,マスキング,契約確認及び情報セキュリティ上の確認を行う.
8 AI 利活用に関する留意事項
生成 AI,機械学習その他の AI システム又は AI サービスを研究に利用する場合には,研究倫理,個人情報保護,契約上の守秘義務,知的財産権,情報セキュリティ,研究インテグリティ及び利用規約を確認する.
AI サービスへの入力, AI による処理, AI 学習への利用, AI 出力の保存及び公開は,研究データ管理の一部として扱う. AI 利活用を行う場合には, DMP 又は研究記録において,利用したサービス,入力データの種類,処理内容,出力結果の利用方法及び確認事項を記録することが望ましい.
非共有・非公開又は公開・非公開を慎重に検討すべき研究データを AI システム又は AI サービスで取り扱う場合には,研究データの管理責任者及び責任範囲を明確にし,アクセス範囲,通信手段,目的外利用の防止,保存先及び処理場所,学習データ等の推測又は復元の可能性を確認する.十分に確認できない場合には,データの量若しくは質の限定,匿名化,仮名化その他のデータ保護措置を講じる.研究活動や研究論文等の学術成果におけるAI の利用については,研究の透明性が重要であるため,生成 AI の利活用記録を残すことが望ましい.
なお,徳島大学以外から委託を受けた研究等,徳島大学規則第 25 条により「業務」とみなされる研究の場合は,「徳島大学における生成 AI の業務利用および開発に関するガイドライン」(学内限定)も参照すること.
8.1 生成 AI サービスへの入力
公開前の研究データ,共同研究データ,個人情報,機密情報,契約上制限のあるデータ,医療情報又は安全保障上配慮を要するデータを生成 AI サービスへ入力する場合には,入力の可否を慎重に判断する.
入力内容がサービス提供者に保存されるか,第三者に提供されるか, AI 学習に利用されるか,国外で処理されるか,削除できるか,管理者がログを確認できるか等を確認することが望ましい.
8.2 AI 学習への利用に関する確認
研究データを AI サービスへ入力又はアップロードする場合には,当該研究データがサービス提供者による学習データとして利用されるか否かを確認することが望ましい.
学習利用を制御する設定(オプトアウト設定,学習除外設定,エンタープライズ契約,テナント分離等)が利用可能な場合には,必要に応じて適切な設定を行う.学習利用を制御できないサービスに対しては,機密情報,個人情報,共同研究データ,未公開研究成果等の入力を避けることが望ましい.
8.3 AI 出力の取扱い
AI サービスの出力を研究成果,論文,報告書,プログラム,図表又はデータセットに利用する場合には,出力内容の正確性,出典,権利関係,研究倫理及び再現性を確認する. AI 出力をそのまま研究データとして保存又は公開する場合には,利用した AI サービス,入力条件,プロンプト,モデル名,利用日時,設定及び人による確認内容を記録することが望ましい.
8.4 AI 利活用の記録
AI 利活用を伴う研究では,以下の事項を記録することが望ましい.
- 利用した AI サービス又はモデル名
- 利用目的
- 入力したデータの種類
- 個人情報又は機密情報の有無
- 学習利用の有無及びオプトアウト設定
- 保存場所及び処理場所
- 出力結果の利用方法
- 人による確認又は検証の方法
- 利用日時及び利用者
9 国際共同研究及び産学連携
国際共同研究,産学連携,受託研究,共同研究又は外部機関とのデータ共有においては,研究の開放性及び透明性を確保しつつ,利益相反,責務相反,安全保障輸出管理,秘密保持,知的財産権,個人情報保護及び研究インテグリティ上のリスクを適切に管理する.
9.1 データ共有に関する確認
外部機関と研究データを共有又は提供する場合には,以下を確認すること.
- 共有又は提供する研究データの範囲
- 共有又は提供の目的
- 提供先及び再提供の可否
- 保存場所及び処理環境
- 利用期間及び終了後の取扱い
- 公開可否及び公開時期
- 知的財産権及び成果発表の取扱い
- 秘密保持義務
- 個人情報保護及び研究倫理上の条件
- 安全保障輸出管理上の確認
- データ所有者
9.2 知的財産権及び契約
共同研究又は産学連携においては,研究データの帰属,利用権限,公開可否,成果発表,特許出願,二次利用,第三者提供及び研究終了後の取扱いについて,契約又は合意内容を確認する.契約上公開又は共有に制限がある研究データについては,当該条件に従う.
9.3 安全保障輸出管理
研究データ,技術情報,ソースコード,設計情報,試料,学習済みモデル等が安全保障輸出管理上の規制対象となる可能性がある場合,もしくは外国の法令等に従う必要のある場合には,提供,相談,アクセス許可又は国外保存を行う前に,必要な確認を行う.外国機関,外国籍研究者,海外クラウドサービス又は国外サーバを利用する場合にも,同様に留意する.
9.4 研究インテグリティ
研究者は,自らの研究活動の透明性を確保し,説明責任を果たすため,外部機関との関係,研究資金,兼業,利益相反,責務相反その他必要な情報について,法令,研究費制度及び学内規程に従って適切に申告又は報告する.研究データの共有及び公開においても,研究インテグリティ上のリスクが懸念される場合には,事前に関係窓口に相談することが望ましい.
10 支援体制
10.1 相談窓口
研究データ管理に関する相談は,内容に応じて以下の窓口に行う.
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 研究データポリシー, DMP,研究公正,研究倫理,研究費制度,産学連携 | 研究・産官学連携部等の関係する学内担当部署 |
| GakuNin RDM,情報基盤 | 情報センター |
| メタデータ,研究成果公開,機関リポジトリ(JAIRO Cloud ), DOI PID | 附属図書館等の関係する学内担当部署 |
| 情報セキュリティ,インシデント対応 | 情報センター, CSIRT 又は部局情報セキュリティ責任者 |
| その他の研究データ管理に関する事項 | 内容に関係する学内担当部署 |
10.2 大学の役割
本学は,研究データの管理,公開及び利活用を支援する環境を研究者に提供するよう努める.また,社会や学術状況の変化,研究費制度の変更, AI 利活用の進展及び情報セキュリティ上の要請に応じて,本ガイドラインを適宜見直すものとする.
本学は,研究データ,論文,研究者情報,研究機関情報及び研究課題情報を PID により相互に関連づける研究情報基盤の重要性を踏まえ,国内外の動向及び学内の運用体制を考慮しつつ, DOI, ORCID, ROR, Grant ID等を活用するために必要な基盤,支援体制及び連携方策の将来的な整備を検討する.この検討は,特定のコンソーシアムへの現時点での加盟又は特定のシステムの導入を前提とするものではない.
改定履歴
本ガイドラインは,令和 8 年 10 月 15 日から施行する.
付録 A 研究データ管理チェックリスト
研究開始時,研究期間中,論文投稿時及び研究終了時に,必要に応じて以下を確認すること.
| 確認 | 項目 |
|---|---|
| □ | 研究データの種類及び概要を整理した. |
| □ | 研究データの出所,権利帰属,利用条件及び加工履歴を確認した. |
| □ | 研究データ管理者又は担当者を確認した. |
| □ | 保存場所を決定した. |
| □ | バックアップ方法を確認した. |
| □ | 共同研究者のアクセス権を整理した. |
| □ | 個人情報,機微情報又は秘密情報の有無を確認した. |
| □ | 契約上又は知的財産上の制約を確認した. |
| □ | 研究倫理審査の要否又は承認条件を確認した. |
| □ | 安全保障輸出管理上の確認を行った. |
| □ | 研究データ単位及びプロジェクト単位のメタデータを作成した. |
| □ | ファイル名及びフォルダ構造を整理した. |
| □ | 参考文献,入手先及び研究成果中の利用箇所を記録した. |
| □ | 解析スクリプト及び実行環境を保存した. |
| □ | 公開,共有又は非共有・非公開の取扱区分を判断した. |
| □ | 公開先リポジトリを検討した. |
| □ | DOI 取得の要否を確認した. |
| □ | 論文,図表,報告書等との対応関係を整理した. |
| □ | 保存期間及び廃棄方法を確認した. |
| □ | 離籍又は異動時の管理主体,移管先及び持出し手続きを確認した. |
| □ | 論文投稿時, AI の利活用に係る投稿規定を確認した. |
付録 B AI 利活用チェックリスト
研究データを生成 AI,機械学習その他の AI システム又は AI サービスに利用する場合には,必要に応じて以下を確認すること.
| 確認 | 項目 |
|---|---|
| □ | AI 利活用の目的を明確にした. |
| □ | 研究データの管理責任者,責任範囲並びに利用者及び提供者の責任の所在を明確にした. |
| □ | 利用する AI サービス又はモデルを記録した. |
| □ | 入力する研究データの種類を確認した. |
| □ | 個人情報,機密情報,共同研究データ又は未公開研究成果を含まないことを確認した. |
| □ | 含む場合には,入力の可否について必要な確認を行った. |
| □ | 利用規約及び契約条件を確認した. |
| □ | 研究データへのアクセスを必要な範囲に制限し,安全な通信手段を確保した. |
| □ | 研究データの目的外利用及び第三者提供が認められないことを確認した. |
| □ | AI 学習への利用の有無を確認した. |
| □ | オプトアウト設定又は学習除外設定を確認した. |
| □ | 保存場所及び処理場所を確認した. |
| □ | 国外保存又は国外処理の有無を確認した. |
| □ | AI モデル等から学習データ等が推測又は復元される可能性を検討し,必要な対策を講じた. |
| □ | 確認できない事項がある場合,データの量・質の限定,匿名化,仮名化その他のデータ保護措置を講じた. |
| □ | 国際共同研究又は産学連携では,関係機関又は研究責任者の確認を得た. |
| □ | 出力結果の正確性及び権利関係を確認した. |
| □ | プロンプト,利用日時,利用者及び設定を記録した. |
| □ | AI 出力を研究成果に利用する場合,人による確認を行った. |
付録 C DMP 記入例
以下は,研究費制度等により DMP の様式が定められていない場合の記入例である.実際の記入にあたっては,研究費制度,公募要領,契約及び研究分野の要件に従うこと.
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 研究課題名 | ○○に関するデータ駆動型研究 |
| 研究代表者 | 徳島大学○○部門○○○○ |
| 研究データの種類 | 実験計測データ,解析スクリプト,図表作成用データ,学習済みモデル |
| データの出所・権利 | 自ら生成したデータと他者から取得したデータを区別し,原データのライセンス及び契約条件を記録する |
| データ形式 | CSV, JSON, Python スクリプト, PNG, PDF |
| データ量 | 研究期間全体で約○○ GB を予定 |
| 保存場所 | 日常作業は Microsoft 365 ,プロジェクト管理は GakuNin RDM を利用 |
| 共有範囲 | 研究代表者,研究分担者,共同研究者に限定 |
| アクセス管理 | GakuNin RDM 及び Microsoft 365 の権限管理を利用 |
| 研究データ管理者 | 研究代表者を管理責任者,○○を管理実務担当者とする |
| 個人情報の有無 | 個人情報は含まない.含む場合は倫理審査及び個人情報保護上の手続きを行う |
| AI 利活用 | 解析補助及びモデル構築に AI を利用する. AI サービスへの入力データは公開可能データ又は匿名化済みデータに限定する |
| 公開方針 | 論文の根拠となる加工済みデータ及び解析スクリプトを公開予定 |
| 公開先 | 機関リポジトリ(JAIRO Cloud)又は分野別リポジトリ |
| ライセンス | 許諾権限及び第三者の権利を確認した上で,原則として CC BY 4.0 を検討する |
| DOI | 公開データに DOI を付与することを検討する |
| 保存期間 | 研究成果公表後 10 年間保存する |
| 異動時の承継 | 離籍又は異動前に,後任者,保存場所,アクセス権及び学外持出しの可否を確認する |
| 廃棄方法 | 保存期間終了後,必要性を確認し,継続保存又は安全な削除を行う |
付録 D 研究データ公開前確認事項
研究データを公開する前に,以下を確認すること.
| 確認 | 項目 |
|---|---|
| □ | 公開対象データが論文又は研究成果と対応しているか. |
| □ | 個人情報,機微情報,秘密情報が含まれていないか. |
| □ | 契約,知的財産,特許出願,研究倫理審査上の制約がないか. |
| □ | 公開及び再利用を許諾する権限並びに共同権利者の同意を確認したか. |
| □ | メタデータ, README,利用条件,ライセンスが整備されているか. |
| □ | 他者の研究データ又は第三者の著作物について,原ライセンス及び出典を表示したか. |
| □ | DOI 取得後の修正困難性を理解しているか. |
| □ | 公開データと関連論文の相互参照が可能か. |
| □ | 問い合わせ先を明記できるか. |
| □ | 研究代表者及び研究データを収集もしくは生成した研究者間で,研究データ公開を合意したか. |