概要
ORCID は,研究者一人ひとりに固有の識別子(Xを含む16桁数値ID)を付与する国際的な仕組みです.論文や研究データ,助成情報などを確実に本人と結び付け,同姓同名の混同を防ぎます.機関や出版社と連携しており,研究成果の一元管理や可視化を容易にする基盤として広く利用されています.IDのみならず,それに紐づいた論文等書誌情報,業績,経歴,助成,査読・編集コミットメントなどもデータも保持し,個人用・公開用ウェブインタフェースも利用できます.さらに論文等書誌情報はORCIDデータへ自動連携されます.具体的には,論文出版時に出版社・学会からRA (Registory Agency) 経由で書誌情報がORCID個人業績一覧に自動追加されます.研究者にとっては名刺・CV代わりになる国際ID基盤と言えるでしょう.
国際論文誌ではORCID使用が事実上義務化されており,本学でも多くの研究者が取得しているとは思われます.しかし現在(2026年5月時点)のところ,徳島大学では個人のORCIDに関する組織的コントロールはしていませんし,ORCID日本コンソーシアムにも加入はしていません.EDBともデータ連携はされていません.とはいえ,研究者の研究履歴を担保するうえでも重要なID基盤ですので,個人で取得して活用することを強くお勧めします.
徳島大学機関リポジトリ(JAIRO Cloud)において任意の記事をDOI付きで公開した場合(著者最終原稿を除く)も,JaLCからORCIDに書誌情報をプッシュさせることができます.
メリット
- 著者に一意な識別子.同姓同名問題の解消.旧姓・別姓なども対応
- 業績の自動集約(論文・データ・助成情報など)
- 投稿・査読・編集各システム,書誌データベースなどにおいて,ORCIDで一貫してログイン可能(シングルサインオン).履歴の自動保存
- 国際的な可視性向上
- 転職・異動に無関係にデータは保持.ライフログとして用いることができる
- 投稿時の入力省力化(出版社と連携)
- データ・論文・助成の自動リンク付け
研究者が所属する組織が,ORCIDに団体として加入すれば,個人のデータのメンテナンスについて組織で管理することができるようになり,以下のような付加機能を得ることもできるでしょう.(本学は未加入)
- 研究者業績・経歴の正確で恒久的なトラッキング・把握,そのための編集
- 研究データとの統合管理
- 研究評価の透明性向上
- 研究評価・分析の高度化
- 機械可読な研究者IDによる論文・データ・人材のネットワーク化
- ライフログ・ナレッジグラフ構築
具体の準備
- ORCIDを未取得であれば,自身で登録ください→ https://orcid.org
- 個人で複数のORCIDを取得することは事実上可能ですが,せっかくの一意性を放棄することになり,メリットは全くありません.
- 論文投稿時,ORCIDを採用している論文誌であれば,必ず著者リストはORCID込みで作成・投稿してください.投稿システムでORCIDを入力 or 検索しながら別途メタデータを作成する場合,スタイルファイルを用いて投稿原稿そのものに自身で埋め込む場合もあります.ORCIDが無いと投稿できない雑誌もあります(登録を求められます).ORCID未取得の共著者がいる場合は速やかに全員取得を求めてください.なお,出版後にORCIDと紐づけるのには困難やコストが伴う場合があります.
- 査読者として査読システムからORCID入力を求められることもあります.査読履歴として記録・公開するかどうかも問われることがあります.積極的に査読履歴は残しておくといいでしょう.
- ORCIDの個人ページに表示される情報は,ログイン後,自身で公開範囲(公開・非公開・限定公開)を選択できます.プッシュによって入ってくるデータについては内容は編集できませんが,公開範囲は変更できます.プッシュのタイミングは概ね出版時ですが,RAにおいてデータに更新がかかった場合,再プッシュされることがあります.
- 出版論文誌が契約しているRAにも気を払う必要があります.Crossref であれば何もしなくても書誌情報はORCID業績一覧にプッシュされます.DataCite, JaLC であれば設定を行わなければプッシュされません.設定方法は,DataCiteであればこちら→How to Connect Your ORCID to DataCite,JaLCであればこちら→ある雑誌の設定ガイドを参照ください.
- 競争的資金による研究プロジェクト情報もプッシュによって得られます(DimensionsWizard).
- 自身で新規にデータを作成・記述編集・公開範囲設定することも可能です.その場合であっても,RAからの同じ出版物に対する書誌情報プッシュはORCIDは受け入れます.よって同じ出版物に対して複数のデータがリストアップされる可能性がありますので,適宜取捨選択ください.
- Scopus, WoS から書誌情報をORCIDに取り込むこともできます.ORCIDが無かった時代の業績を登録するのに一役買うでしょう.
